通信講座を選択する時、価格やらサポートやらの判断も大切ですが、ご自身の思い描いている学習計画とマッチングするかどうかは大変重要な問題です。通信講座の価格だけで選んでみたものの、よく見てみるとものすごく短期で既に社労士の学習をある程度かじった人向けの講座だったなんてことも少なくありません。
これでは効果的な学習はできませんし、何よりお金のムダです。資格学校が設定している社労士の講座は無数にあり、受講する期間もまちまちです。今回は、自分に合った講座の受講期間の導き方を考えていきたいと思います。
通信講座の受講期間の導き方
主要な資格学校の通信講座の受講期間を読み解くことで、おおよその目安をつかむことが出来ます。通信講座各社はどのような受講期間を設定しているのでしょうか?通学タイプと通信・e-Learningに分けて統計を取ってみました。
※教育訓練給付制度に該当する講座のみとなっております、社労士に関連する全講座ではありませんのであしからずご了承下さい
資格学校名 | 講座数 | 平均受講期間 |
大原法律専門学校 | 8種類 | 8.0ヶ月 |
大原簿記法律専門学校梅田校 | 3種類 | 8.0ヶ月 |
大原情報ビジネス専門学校 | 2種類 | 9.0ヶ月 |
大原法律公務員専門学校横浜校 | 1種類 | 9.0ヶ月 |
iDE社労士塾 | 7種類 | 9.0ヶ月 |
安全衛生普及センター | 1種類 | 9.0ヶ月 |
名北労働基準協会 | 1種類 | 9.0ヶ月 |
資格の大原 | 11種類 | 9.2ヶ月 |
エムエー社労士受験教室 | 1種類 | 10.0ヶ月 |
資格の学校TAC | 7種類 | 10.0ヶ月 |
LEC東京リーガルマインド | 2種類 | 12.0ヶ月 |
全体平均 | 9.3ヶ月 |
資格学校名 | 講座数 | 平均受講期間 |
フォーサイト | 2種類 | 6.0ヶ月 |
安全衛生普及センター | 3種類 | 6.0ヶ月 |
iDE社労士塾 | 8種類 | 8.0ヶ月 |
資格の大原 | 7種類 | 9.9ヶ月 |
資格の学校TAC | 7種類 | 10.4ヶ月 |
クレアール | 4種類 | 11.5ヶ月 |
LCE東京リーガルマインド | 4種類 | 11.5ヶ月 |
全体平均 | 9.0ヶ月 |
通学タイプも通信タイプも平均の受講期間としては、同じような期間設定であることが見て取れますね。講座の受講期間は、最短4ヶ月~最長12ヶ月迄の期間設定が存在しており、さらに「受講期間 – 講座数」でグラフ化すると以下のようになります。
中央値が8~10ヶ月程度の期間になりますので、そこを基準にしてざっくりと学習レベルの範囲を3つに分けています。ご自身がどのあたりに属しているかを当てはめると、必要な受講期間(何ヶ月)の目安を推し量ることが出来ます。
管理人視点ではありますが、社労士講座の学習レベルの定義を記載しておきますので参考にしてみて下さい。
学習レベル | 定義 |
初学者 | 社労士について全く知らず、学習経験のない方 |
中級者 | 社労士にかかる法律の基礎知識を多少知っている、または学習を過去に少しはやったことがある方 |
上級者 | 社労士にかかる法律の基礎知識を備えている、または過去に受験経験がある方 |
受講期間の目安はわかったけど、実際の学習に要する時間は?
トータルの学習時間を導き出すには、1日の学習時間をどの程度確保するかの基準が必要ですが、一般的な目安はせいぜい1日3時間と言ってもよいでしょう。これは、通学講座の時間割が1コマ大体3時間の設定であることに加え、社会人の方ですと現実的に1日に確保できる時間が頑張っても3時間程度という根拠から来ています。
一般的に初学者の方が社会保険労務士試験に合格するまでに要する時間は、大体1,000時間と言われていますので、本当にそうなのかを計算してみましょう。計算式は以下の通りとなります。
学習期間 | 学習時間 |
初学者 11ヶ月パターン | 3時間/日 × 30日 × 11ヶ月 ー> 990時間 |
初学者 12ヶ月パターン | 3時間/日 × 30日 × 12ヶ月 ー> 1,080時間 |
以上の通り大体1,000時間前後という結果になりました。これは、毎日必ず3時間机に向かうなり、通学するなりしても11~12ヶ月程度はかかると言うことになります。講座を開講している資格学校は1日3時間程度は勉強する前提で、受講期間を設定していると捉えることが出来ます。ここまでで抑えてほしいことは以下2点です。
- 講座の受講期間は、1日3時間程度の学習時間を想定したものである
- 受講期間は、1日に確保できる学習時間によって変動する
初学者の方の場合、1日1時間位しか勉強しない人は、各講座が示している受講期間の11~12ヶ月の間勉強しても、合格ラインに到達しないことになります。まあ、ちゃんと3時間ぐらいは確保して下さいと言うのは簡単ですが、仕事や家族サービスをこなしながらですと厳しいかもしれません。
そんな方は、以下の計算式に当てはめてざっくりで良いので受講期間を割り出してみて下さい。簡単な数学の計算で出せます。上級者の場合は4~7ヶ月のいずれかを計算基準としますので結構幅がありますが、ある程度余裕を見た期間で計算すべきだと考えます。
学習レベル | 計算方法 |
初学者 | 11~12ヶ月 × 3時間 ÷ [1日の学習時間] = 必要な学習期間(何ヶ月) |
中級者 | 8~10ヶ月 × 3時間 ÷ [1日の学習時間] = 必要な学習期間(何ヶ月) |
上級者 | 4~7ヶ月 × 3時間 ÷ [1日の学習時間] = 必要な学習期間(何ヶ月) |
これで、必要な学習期間が何ヶ月程度なのかを感覚的につかむことが出来ると思います。今回様々な統計データを出しましたが、管理人としては、ここから更に1.2倍程度の余裕は見ておいたほうが良いと考えています。
試験日から逆算して学習計画をたてよう!
ここまでで、自分に必要な受講期間(学習期間何ヶ月)のおおよその目安がつかめたかと思います。後は、今現在の日付と社会保険労務士試験日である8月下旬の最終日曜日までの期間で学習計画を練って、近い学習期間が設定されている通信講座をチョイスするだけです。
本試験までの期間があまりなく、間に合いそうにない場合はその年の試験はお試しと割り切って、基礎知識を固める事に終止した方が良いでしょう。この場合、翌年の試験をターゲットにすることになりますが、その際講座選びで幾つかポイントがありますので整理しておきます。
- 試験後も質問などサポートがある講座か?
- 1年目で不合格でも1年間受講を延長してくれるか?
- 法改正の差分資料がもらえるか?
上記のように、次年度の本試験までを視野に入れた講座を受講しておくとコストを抑えることが出来ますので、講座を選択するときは必ずチェックするようにしましょう。
自分に合った通信講座の受講期間を知る方法まとめ
資格学校各社としては、「短期間で合格できます!」と宣伝したいのは当然なので学習期間を少なめに見せている傾向にあるはず。また、学習期間の目安が表記されていたとしてもそれはあくまでも「目安」に過ぎませんから、取組方次第でもっと長い期間が必要かもしれませんし、短くて済むかもしれません。
特に初学者の方であれば、今どのような学習の進捗状態で、余裕があるのか無いのかさえ判断しづらいと思われますから、最低でも1年程度、余裕を持って試験対策をするのであれば1年半程度の期間は確保しておいたほうが良いと思います。