突然ですが「教育訓練給付制度」という制度をご存じでしょうか?
通信講座の情報を見ていると必ずと言っていいほど目に入ってくると思いますが、簡単に言うと特定の条件のもとで該当する講座を受講した後に、かかったお金のうちいくらかを国が負担してくれるという制度のことを指します。
この制度を管轄しているのが厚生労働省で雇用保険に関わる分野なので、手続きの窓口はあなたのお住いを管轄するハローワークとなっています。お役所仕事にありがちな「わかりづらい、読みづらい、面倒くさい」の3拍子揃った制度なので、本記事ではそのあたりをなるべく分かりやすく情報を整理して解説したいと思います。
まぁ、条件に合う方がちゃんと申請すればお金が返ってくるわけなので、まずは制度の内容をきっちりと抑えてきましょう!
教育訓練給付制度の概略
教育訓練給付制度については、2020年5月時点で「一般教育訓練給付」「専門実践教育訓練給付」「特定一般教育訓練給付」の3種類があり、それぞれ支給される金額や申請手続きなどで違いがあります。
より専門的な知識や技能習得に時間がかかる資格を取り扱う講座が「専門実践教育訓練給付」に分類され、支給金額が高額で受講期間も長くなります。
また、2019年10月より開始された「特定一般教育訓練給付」に関しては「一般教育訓練給付」と名前が似ておりますが(てかヤヤコシイ)、支給金額、申請方法が異なるため注意が必要です。
では、早速それぞれの内容を見ていきましょう。
一般教育訓練給付
働く人の主体的な能力開発の取組み又は中長期的なキャリア形成を支援するため、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする雇用保険の給付制度です。
一定の条件を満たす雇用保険の被保険者※(在職者)又は被保険者であった方(離職者)が、厚生労働大臣の指定する一般教育訓練を受講し修了した場合、本人自らが教育訓練施設に支払った教育訓練経費の一定割合に相当する額(上限あり)をハローワーク(公共職業安定所)から支給します。
受講者本人が指定教育訓練実施者に対して支払った教育訓練費の20%に相当する額がハローワークより支給されます。ただし、20%に相当する額が10万円を超える場合は最大10万円とし、4,000円を超えない場合は支給されません。
上記の通り最大10万円が戻ってくるということです。「教育訓練費」とは、申請者が教育訓練実施者(通信講座や学校)に対して支払った入学料及び受講料(最大1年分)の合計です。
当然、教育訓練費に該当しない事柄も存在しますので以下↓に整理しておきます。
- 検定試験(本試験)受験料
- パソコン、参考書代など補助教材費
- 受講のための交通費
- クレジットカード会社に支払う手数料
- キャンペーン・特典等
- オプション講座の受講料
- 支給申請時点で未納の額
- 学校が開催している行事参加費など
あくまでも支払った入会金と受講料が教育訓練費ということです。例えば・・・講座のDVD動画を視聴するために、気合を入れてPCを新調しても教育訓練費に該当しませんので注意です。
図書カードやQUOカードなどの金券キャッシュバックを良く見かけますが、特典を受け取った分は支給対象金額の計算から差し引かれます。講座の運営会社に問い合わせれば詳しく教えてくれますので、どこまでが支給の対象となるか判断に迷ったら聞いてみましょう。
続いて、一般教育訓練給付の場合の講座の受講期間について確認しましょう。
講座の種類 | 条件 |
通学制の場合 | 1ヶ月以上1年以内(受講時間50時間以上) |
通信制の場合 | 3ヶ月以上1年以内 |
教育訓練の訓練効果を定量的に測定する必要性があるので、一般教育訓練講座の実施期間やカリキュラムとして組まれるべき総訓練時間は、あらかじめ決められています。上記の通り、受講期間が1年以内の講座が一般教育訓練講座に区分されるとおぼえておくと良いでしょう。
続いて、専門実践教育訓練給付について見ていきましょう。
専門実践教育訓練給付
雇用保険法の改正により、平成26年10月より従来の教育訓練給付金(教育訓練経費の20%(上限額10万円)、訓練期間:最長1年間)に加え、新たに中長期的なキャリア形成を支援するために「専門実践教育訓練」が創設されました。
以前は「一般」とか「専門」とか言う区分けはありませんでしたので、専門実践教育訓練給付はわりと最近創設された新しい制度ということになります。
一定の条件を満たす雇用保険の被保険者(在職者)、または被保険者であった方(離職者)が、厚生労働大臣の指定する専門実践教育訓練を受講し修了した場合、本人が教育訓練施設に支払った教育訓練費の一定割合(上限あり)をハローワークから支給する制度です。
上記の文書だけでは、一般教育訓練給付とあまり変わらないような印象を受けますが支給額は段違いです。
分類 | 内容 |
①訓練受講中 | 1年あたり [教育訓練費] × [40%] で最大32万円を支給(ただし4千円を超える場合)。訓練期間は最大で3年間なので、3年で最大96万円を支給。 |
②訓練修了後 | 専門実践教育訓練の受講を修了した後、あらかじめ定められた資格等を取得し、受講修了日の翌日から1年以内に被保険者として雇用された方に対しては、[教育訓練経費] × [20%] に相当する額を追加支給。 |
※①、②の総額が144万円を越える場合は、最大で144万円までの支給になる |
上記の通りかなりの金額が返ってくることが分かります。また、講座を修了して資格をゲットして就職すれば、追加で20%が支給されますのでさらにお得です。
しかし、専門実践教育訓練のリーフレット(厚生労働省発行)を見ると、まるで40%+60%の支給で100%返ってくる?ような見た目になっているんですよね。そんなわけはないだろうと思いつつ、管理人は何回読んでも最大で給付金がいくら受け取れるのかピンとこなかったので・・・。以下↓の通り情報を整理してみました。
整理すると納得できました、はい。
訓練期間 | 教育訓練費 | ①受講中の給付 ②修了後の給付 |
①+② | |
1年 | 80万 | ①80×40%=32万 ②80×20%=16万 |
48万 | |
2年 | 160万 | ①160×40%=64万 ②160×20%=32万 |
96万 | |
3年 | 240万 | ①240×40%=96万 ②240×20%=48万 |
144万 | |
※単位は万円で、最大値を記載しています |
特定一般教育訓練給付
2019年10月に開始された特定一般教育訓練給付についてですが、特定アリとナシの大きな違いについてですが、まず特定アリだと給付金額が2倍に増えてるという特徴があります。
特定一般教育訓練を受けて修了した場合、その受講のために受講者本人が指定教育訓練実施者に対して支払った教育訓練経費の40%に相当する額をハローワークが支給します。
ただし、その40%に相当する額が、20万円を超える場合の支給額は20万円とし、4千円を超えない場合は教育訓練給付金は支給されません。
講座の受講期間の条件については「一般教育訓練給付」と同等となっておりますので、ここでは割愛しますが、特定一般教育訓練給付の指定講座となるための条件については特定ナシのものよりも少し条件が追加されております。
- 業務独占資格、名称独占資格もしくは必置資格に関する養成課程、またはこれらの資格取得を訓練目標とする課程など[介護支援専門員実務研修等、介護職員初任者研修、生活援助従事者研修、特定行為研修、喀痰吸引等研修を含む]
- 情報通信技術に関する資格のうちITSSレベル2以上の情報通信技術に関する資格取得を目標とする課程[120時間未満のITSSレベル3を含む]
- 新たなITパスポート試験合格目標講座[2019年4月1日以後に実施される当該試験の合格を訓練目標とする課程についてのみ対象]
- 短時間のキャリア形成促進プログラムおよび職業実践力育成プログラム[60時間以上120時間未満の過程]
ざっくり要約すると「専門実践教育訓練」には含まれていないが「一般教育訓練給付」よりは専門的な講座が対象になっている、と考えてもらったらよいかと思います。
2020年5月時点の対象講座の一覧を確認してみても、以前は「一般教育訓練給付」だった講座が「特定一般教育訓練給付」に昇格しているケースが目立ちますので、概ね理解は合ってる認識です。
ちなみに社会保険労務士の資格講座に関してもいくつか「特定一般教育訓練給付」のほうに含まれております。(ただし数は多くありません)
全ての講座が教育訓練給付金制度に該当するわけではない
本記事でご紹介している社労士の講座についてですが「一般教育訓練給付」「特定一般教育訓練給付」にしか存在しません。
また巷にあふれている資格学校が開設している講座全てが教育訓練給付金の対象講座というわけではなく、あくまでも厚生労働大臣が指定する教育訓練講座に当てはまる講座のみが対象となってます(ちょっと残念ですね)。
しかし、大手資格学校が開設している通学・通信講座の多くが一般教育訓練給付に該当しているので、まだ意中の講座が決まっていない方は教育訓練給付制度に該当している講座かどうかで選ぶのも1つの手です。
厚生労働省で検索システムを用意してくれているので、教育訓練給付制度に該当している講座を自分で調査することが出来ます。
ちなみに、↓↓↓の記事で検索システムの詳しい使い方を画像付きで解説してますので、こちらも参考にしてください。
教育訓練給付制度の対象者の条件とは?
どういった条件をクリアしていれば一般教育訓練給付、専門実践教育訓練給付、特定一般教育訓練給付の対象者になれるか??についてですが、こちらについては雇用保険の被保険者であった期間、教育訓練給付制度の過去の利用実績が密接に関係してきます。
厚生労働省の解説ページもあるのですが、非常にややこしいためフローにしてみました。ご自身の状況と照らし合わせてみてください。
※「一般教育訓練給付」「特定一般教育訓練給付」については同条件となるため「一般教育訓練給付」として統一
一般教育訓練給付/特定一般教育訓練給付の対象者確認フロー
(※注1) 妊娠、出産、育児、疾病、負傷等の理由で30日以上、講座の受講を開始できない場合は、ハローワークに申請することで1年以内のところを最大4年以内まで延長可能。
専門実践教育訓練給付の対象者確認フロー
(※注1) 妊娠、出産、育児、疾病、負傷等の理由で30日以上、講座の受講を開始できない場合は、ハローワークに申請することで1年以内のところを最大4年以内まで延長可能。
一般教育訓練給付、専門実践教育訓練給付、特定一般教育訓練給付ともに判断の流れは同じですが、基準となる雇用保険の加入期間の年数で大きな差があります。専門実践教育訓練給付の場合、支給金額も大きい分、再度給付金制度を利用するとなると10年のインターバルが必要となるので、2回以上受給するってのは相当ハードルが高いと言えます。
なお、自分自身が受給対象者だと判断していても実は「対象者ではなかった。。」ということが修了後に発覚するということが結構多いらしいです。自分が対象者か否か判断するのが面倒くさい人は次のセクションを読んで下さい。
調べるのが面倒な方のための支給要件の照会方法
国が主体となって運用しているこの手の補助金制度はとてもややこしいので、調べるのが面倒な方はハローワークに照会することが出来ます。
ハローワークや教育訓練施設(資格学校など)で配布している「教育訓練給付金支給要件照会票」に必要事項を記入し、本人来所/代理人/郵送のいずれかの方法によって、照会者の住居所管轄するハローワークに提出します。照会結果が「教育訓練給付金支給要件回答書」で後日通知されてきます。
ご自宅にプリンタがある方は、以下↓のページで様式がダウンロードできますので印刷してハローワークに持って行くと手続きがスムーズです。どのみち、後述する申請の関係でハローワークには何度か足を運ぶことになると思いますんで、交通期間やハロワの雰囲気に慣れておきましょう。
照会の方法 | 条件 |
本人が提出する場合 | 本人確認と住居確認が出来る書類、運転免許証・住民票の写し・雇用保険受給資格者証・国民健康被保険者証・印鑑証書のいずれか(いずれもコピー可)を提出する必要があります。 |
郵送で提出する場合 | 「本人が提出する場合」に記載した書類のいずれかのコピー。原本の場合は「住民票の写し」か「印鑑証明書」のみに限られます。 |
代理人が提出する場合 | 代理人の場合は更に委任状が必要となります。 |
電話で照会 | 電話での照会はトラブルの元ということで応じてくれません。 |
給付金を受け取るための申請の流れ 一般教育訓練給付編
一般教育訓練給付は、一般教育訓練の受講終了日の翌日から起算して1ヶ月以内に受講者本人の住居所を管轄するハローワークに本人が直接出向いて下記の書類を提出して下さい。もし心配な場合は、一度電話して持参すべき書類を確認してからハローワークへ赴いた方が無難です。
※やむを得ない理由がある場合は、代理人(委任状必須)もしくは郵送提出も可能です
書類 | 内容・注意点など |
①教育訓練給付金支給申請書 | 教育訓練施設(受講している資格学校)より発行されます。 |
②教育訓練修了証明書 | 教育訓練施設(受講している資格学校)より発行されます。 |
③領収書 | 受講者本人が納付した教育訓練経費について、訓練施設(資格学校)が発行してくれます。 |
④キャリアコンサルティングの費用 | キャリアコンサルティングの費用の支給を申請する場合は、「キャリアコンサルティングの費用に係る領収書」、「キャリアコンサルティングの記録」、「キャリアコンサルティング実施証明書」 |
⑤-1本人・住居所確認書類 | 申請者の本人確認と住居所確認を行うため、官公署が発行する証明書です。具体的には、運転免許証、マイナンバーカード、住民票の写し、雇用保険受給資格者証、国民健康保険被保険者証、印鑑証明書のいずれかです(コピー不可)。郵送の場合は、事故防止のため住民票の写し、印鑑証明書のいずれか(コピー不可)に限ります。 |
⑤-2個人番号(マイナンバー)確認書類 | マイナンバーカード、通知カード、マイナンバーの記載のある住民票の写しのいずれかです(コピー不可)。 |
⑥雇用保険被保険者証 | 雇用保険被保険者証は、従業員が退職するまで会社側が預かり、退職時に従業員に渡されることがほとんどですからお手元にない場合は、会社の人事に言ってコピーをもらいましょう。
現在離職中の方で、ハローワークで雇用保険受給の手続きを済ませた方は、雇用保険受給資格者証を提出します(コピー可)。 |
⑦教育訓練給付適用対象期間延長通知書 | 適用対象期間の延長をしていた場合に必要です。 |
⑧返金明細書 | 領収書が発行された後に教育訓練経費の一部を本人に返金する場合のみに教育訓練施設(受講している資格学校)から発行されます、具体的にはキャンペーン・特典等を受け取った金額に相当します。つまり、その金額分教育訓練費の計算から差し引かれる事になります。給付金の額が減るからと言って申請しないと給付金が取り消しになるなど弊害の方が多いので、正直に申告しましょう。 |
⑨払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード | 教育訓練給付金支給申請書の「払渡希望金融機関」記載欄に金融機関の確認印を押すところがありますが、金融機関の確認を受けずに支給申請書と同時に申請者本人の名義の通帳またはキャッシュカードを提示してもOkです。 |
⑩教育訓練経費等確認書 | ハローワークで記入するアンケート用紙のようなものです。例えば、「教育訓練施設への支払い総額」、「講座を正しく終了したか否か」、「講座が目標としている資格試験の受験予定日」などを記入します。 |
給付金を受け取るための申請の流れ 専門実践教育訓練給付編
一般教育訓練給付と似たりよったりの段取りですが、用意する書類が微妙に異なったり申請の段取りが異なっており、受講前と受講中(もしくは受講後)の最低2回以上は申請が必要となります。
専門実践教育訓練給付金を利用する場合には、受講開始日1ヵ月前までにハローワークへの手続きが必要となりますので注意して下さい。
申請手続きを行う前にやるべきことがあります!
申請手続きを行う前に、ハローワークでキャリア・コンサルタントによる「訓練前キャリア・コンサルティング」を受ける必要があります。また、ジョブ・カードの交付を受ける必要があるのですが、自分で予め記載して持っていく事になります。
ジョブ・カードとは厚生労働省が推進するいわば履歴書・職務経歴書のようなものなので、真面目に記入すると時間がかかるので事前にダウンロードして記載しておくべきです。
- ジョブ・カードは、専門実践教育訓練の教育訓練給付金の受給資格決定の際にハローワークに提出する書類の一つとなるため、虚偽の記載をしていた場合責任を問われる場合があるので正直に記載しましょう。
- 過去にジョブ・カードの交付を受けたことがある場合は、交付済みのジョブ・カードを持っていってもOKですが、転職などで職歴が変わった場合は、職務経歴シートを新たに記入しておく必要があり、その他の項目についても最新化しておく必要があります。
- 就業に関する目標・希望などの棚卸しができておらず、自分で記入できない場合はキャリア・コンサルティグを通じて支援(もといダメ出し)をしてくれますので、そのまま持っていってもいいですが、可能な限り埋めておく事をおすすめします。
ハローワークに受講前申請を行う
大切な事なのでもう一度言っておきますが、受講開始日1ヵ月前までにハローワークへの手続きが必要です。
受講者本人の住居所を管轄するハローワークに本人が直接出向いて下記の書類を提出して下さい。
※やむを得ない理由がある場合は、代理人(委任状必須)もしくは郵送提出も可能です
書類 | 内容・注意点など |
①教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票 | 様式はこちらからダウンロードして印刷する事も出来ますが、ハローワークで配布しているものはしっかりとした紙質のものなのでそちらに記入したほうが良いでしょう。 |
②ジョブ・カード | 訓練前キャリア・コンサルティングでの発行から1年以内のものが必要です。 |
③本人・住居所確認書類 | 本人・住居所確認書類とは、官公署が発行する証明書です。運転免許証、住民基本台帳カードのうち本人の写真付き。これらがない場合は、①旅券(パスポート)、②住民票記載事項証明書(住民票、印鑑証明書)、③国民健康保険被保険者証(健康保険被保険者証)のうちいずれか2種類(コピー不可)。 |
④個人番号(マイナンバー)確認書類 | マイナンバーカード、通知カード、マイナンバーの記載のある住民票の写しのいずれかです(コピー不可)。 |
⑤雇用保険被保険者証 |
雇用保険被保険者証は、従業員が退職するまで会社側が預かり、退職時に従業員に渡されることがほとんどですからお手元にない場合は、会社の人事に言ってコピーをもらいましょう。
現在離職中の方で、ハローワークで雇用保険受給の手続きを済ませた方は、雇用保険受給資格者証を提出します(コピー可)。 |
⑥教育訓練給付適用対象期間延長通知書 | 適用対象期間の延長をしていた場合に必要です。 |
⑦写真2枚 | 最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cmのサイズのものを用意しましょう。 |
⑧払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード | 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票の「払渡希望金融機関」記載欄に払渡希望金融機関の確認印を押すところがありますが、金融機関の確認を受けずに支給申請書と同時に申請者本人の名義の通帳またはキャッシュカードを提示してもOkです。 |
ハローワークに支給申請を行う
専門実践教育訓練は、1年以上の期間訓練を受けることになりますので、受講開始日から6ヶ月ごとにハローワークに申請する必要がある事を覚えておきましょう。
支給の申請先は、受講者本人の住居所を管轄するハローワークに本人が直接出向いて提出します。
※やむを得ない理由がある場合は、代理人(委任状必須)もしくは郵送提出も可
講座の受講状態 | タイミング |
受講中 | 受講開始日から6ヶ月ごとの期間(支給単位期間)の末日の翌日から起算して1ヶ月以内に申請する必要があります。 |
受講修了 | 受講修了日の翌日から起算して1ヶ月以内に申請する必要があります。 |
書類 | 内容・注意点など |
教育訓練給付金の受給資格者証 | 受給資格者証はハローワークから交付されます。 |
教育訓練給付金支給申請書 | 6ヶ月ごとに教育訓練施設(受講している資格学校)より発行されます。下記様式をご覧になって、「教育訓練支援給付金受給資格確認票とほとんど変わらないなあ」と思われるかもしれませんが細かい部分が微妙に違います。講座の受講開始年月日などを記載する欄が追加になっています。 |
受講証明書又は専門実践教育訓練修了証明書 | 6ヶ月ごとに教育訓練施設(受講している資格学校)より発行されます。 |
領収書 | 受講者本人が納付した教育訓練経費について、訓練施設(資格学校)が発行してくれます。 |
返還金明細書 | 「領収書」、「クレジット契約証明書」が発行された後で教育訓練経費の一部が教育訓練施設から本人に対して、還付された(される)場合に必要です。 |
資格取得等を証明する書類 | 「追加給付」の支給申請の時に資格取得等を証明する書類が必要です。 |
追加給付の支給申請で更に20%の追加をゲットしよう!
受講した専門実践教育訓練が目標としている資格取得等を達成して、修了日の翌日から1年以内に一般被保険者として雇用された場合は、さらに教育訓練経費の20%にあたる追加支給を受けることが出来る事をご説明したと思います(覚えてますか?)。
一般被保険者として雇用された日の翌日から、1か月以内に資格取得等を証明する書類とともに申請手続きを行いましょう。現在一般被保険者として雇用されている方は、専門実践教育訓練を修了して、且つ資格取得等した日の翌日から1か月以内に申請しましょう。
★★★
給付金を受け取るための申請の流れ 特定一般教育訓練給付編
名前だけ見れば「一般教育訓練給付」に特定が付いてるか付いてないかの差ではありますが、受給する側の手続きとして大きな違いがあり専門実践教育訓練と同様に受講開始日1ヵ月前までにハローワークへの手続きが必要となります。
申請内容としては「専門実践教育訓練給付」と同様に事前に「訓練前キャリア・コンサルティング」を受けジョブカードを発行してもらう必要がありますので、手順に関しては「給付金を受け取るための申請の流れ 専門実践教育訓練給付編」をご確認ください。
ハローワークに受講前申請を行う
受講前申請に必要な書類については「専門実践教育訓練給付」と類似しておりますが、少し異なる点もありますので以下にまとめておきます。
書類 | 内容・注意点など |
①教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票 | 様式はこちらからダウンロードして印刷する事も出来ますが、ハローワークで配布しているものはしっかりとした紙質のものなのでそちらに記入したほうが良いでしょう。 |
②ジョブ・カード | 訓練前キャリア・コンサルティングでの発行から1年以内のものが必要です。 |
③本人・住居所確認書類 | 本人・住居所確認書類とは、官公署が発行する証明書です。運転免許証、住民基本台帳カードのうち本人の写真付き。これらがない場合は、①旅券(パスポート)、②住民票記載事項証明書(住民票、印鑑証明書)、③国民健康保険被保険者証(健康保険被保険者証)のうちいずれか2種類(コピー不可)。 |
④個人番号(マイナンバー)確認書類 | マイナンバーカード、通知カード、マイナンバーの記載のある住民票の写しのいずれかです(コピー不可)。 |
⑤身元(実在)確認書類 | マイナンバーカード、運転免許証、官公署が発行する身分証明書・資格証明書(写真付き)などです(コピー不可)。 |
⑥払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード | 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票の「払渡希望金融機関」記載欄に払渡希望金融機関の確認印を押すところがありますが、金融機関の確認を受けずに支給申請書と同時に申請者本人の名義の通帳またはキャッシュカードを提示してもOkです。 |
⑦専門実践教育訓練給付および特定一般教育訓練給付再受給時報告 | 過去に専門実践教育訓練給付および特定一般教育訓練給付を受給したことがある場合に必要となります。 |
ハローワークに支給申請を行う
支給申請については、「一般教育訓練給付」の内容と類似しており、特定一般教育訓練の受講終了日の翌日から起算して1ヶ月以内に受講者本人の住居所を管轄するハローワークに本人が直接出向いて諸々の書類を提出する必要があります。
※やむを得ない理由がある場合は、代理人(委任状必須)もしくは郵送提出も可
書類 | 内容・注意点など |
①受給資格確認通知書 | 受給資格確認時にハローワークからもらえる通知書です |
②教育訓練給付金支給申請書 | 教育訓練施設(受講している資格学校)より発行されます。 |
③教育訓練修了証明書 | 教育訓練施設(受講している資格学校)より発行されます。 |
④特定一般教育訓練実施者が発行する教育訓練経費に関する領収書 | 指定教育訓練実施者が、受講者本人が支払った教育訓練経費について発行します。なお、クレジットカードなどによる支払いの場合は、クレジット契約証明書(または必要事項が付記されたクレジット伝票)が発行されます。受領した場合は、支給申請時に添付できるよう保管しておきましょう。 |
⑤本人・住居所確認書類 | 申請者の本人確認と住居所確認を行うため、官公署が発行する証明書です。具体的には、運転免許証、マイナンバーカード、住民票の写し、雇用保険受給資格者証、国民健康保険被保険者証、印鑑証明書のいずれかです(コピー不可)。郵送の場合は、事故防止のため住民票の写し、印鑑証明書のいずれか(コピー不可)に限ります。 |
⑥個人番号(マイナンバー)確認書類 | マイナンバーカード、通知カード、マイナンバーの記載のある住民票の写しのいずれかです(コピー不可)。 |
⑦特定一般教育訓練実施者が発行する返還金明細書 | 「領収書」「クレジット契約証明書」が発行された後で教育訓練経費の一部が指定教育訓練実施者から本人に対して還付された(される)場合に指定教育訓練実施者が発行します。つまり、その金額分教育訓練費の計算から差し引かれる事になります。給付金の額が減るからと言って申請しないと給付金が取り消しになるなど弊害の方が多いので、正直に申告しましょう。 |
⑧特定一般教育訓練給付受給時報告書 | 指定教育訓練実施者から発行される報告書となります。支給申請時に必要なため大切に保管しておきましょう。 |
教育訓練給付制度を利用する際のよくある質問・疑問を整理
実際に教育訓練給付制度を利用する場合にありがちな質問をまとめてみました。
Q1.会社にバレない?
教育訓練給付金(一般教育訓練給付、専門実践教育訓練給付)の申請については、受給対象者/指定の教育機関/ハローワークの間でのやり取りとなるため、会社、企業は経由しません。
なので、自分から会社に言わない限りは教育訓練給付制度を利用したことを知られることはありません。転職活動向けに異業種の資格取得をするという方も安心して制度を利用することが出来ます^^
唯一の会社との接点は、雇用保険被保険者証明を会社が管理している場合、コピーを貰う時に人事に感づかれるかもしれないという事です。まあ、心配しすぎかもしれませんが、今の会社に対して何らかの不信感を抱いている方などのお気持ちが分からないわけではありません(経験上・・・)。
雇用保険被保険者証は、ハローワークから会社に対して発行されるものです。会社にバレずに雇用保険被保険者証をゲットする場合は、ハローワークで再発行してもらうという手があります。身分証明書と印鑑、現在務めている会社名・住所・郵便番号・電話番号などの情報を持ってハローワークに赴き「失くしちゃったんで、再発行お願いします」と言いましょう。
「雇用保険被保険者証再交付申請書」を記載する事になりますが、記入欄にある雇用保険被保険者番号は記載不要です。会社の名称や住所・電話番号・郵便番号を記載すると、ハローワークのほうで番号を調査してくれます。
Q2.結果、不合格の場合でも給付金はもらえる?
教育訓練給付金の申請条件として、資格の合否については関係がなく、あくまでも講座を修了しているかどうかが条件となります。なので、不合格であっても必要書類を準備して申請すれば給付金として受け取ることが出来ます。
ただし、次回の制度利用については一般教育訓練給付、専門実践教育訓練給付それぞれの指定年数分のインターバルが必要となります。
Q3.職業訓練受講給付金と何が違うの?
名前は似てますが、根本的に制度の仕組みが異なります。
■職業訓練受講給付金(求職者支援制度)
雇用保険を受給できない求職者の方(受給を終了した方を含む)が、ハローワークの支援指示により職業訓練を受講する場合、職業訓練期間中の生活を支援するための給付を受けることができる制度で、条件に応じて上限月額10万円が支給される。
参考:厚生労働省 職業訓練受講給付金(求職者支援制度)ページ
つまり、職業訓練受講給付金は働いていない方を前提とした給付金制度となってますが、教育訓練給付制度は現在働いている(もしくは辞めて1年未満)の方を対象とした制度となってます。
教育訓練給付制度まとめ
今回は教育訓練給付制度の制度の内容から申請方法、講座の調べ方まで盛りだくさんでお伝えしてきましたが、間違いなく言えるのは・・・
利用できる人は絶対に利用しないとマジで損!!!
ってことでしょう。
やや、手続きが面倒な点もありますが、一般教育訓練給付でも受講料の20%、専門実践教育訓練給付に関しては色々合せ技で受講料の60%が戻ってきますので、これくらいの苦労は喜んでやりましょう、と言うか絶対にやるべきです。
用意する書類は面倒くさいですが、ものすごく頭を抱えて記載しなければならない書類は一切ありませんので頑張りましょう。
なお教育訓練給付制度の要件は、今後細かく内容が変更される可能性があります。リーフレットを見ていても細かい修正や改版が随時なされています。提出するべき書類を忘れたらそれだけで時間のムダなので、最新の情報については厚生労働省の教育訓練給付制度のページ、もしくはハローワークのページでチェックするようにしましょう。
※あるいは、管轄するハローワークに電話して問い合わせた方が手っ取り早いと思います。
ハローワークは、時間帯や季節によっては結構混雑していたりします。時間短縮のために後述する【参考リンク】から一式ダウンロードするなりして、事前に準備出来るものは極力していった方が良いと思います。(もし持参した様式などが無駄になっても、情報を転記すれば時間短縮になりますので)